情報が人の命を左右する!? “インフォデミック”という もう一つの感染
本動画で扱う主なテーマ
- 情報が拡散されるもう一つの感染“インフォデミック”とは?
- 『5Gが新型コロナウイルスを活性化する』という“トンデモ情報”も⁉
- SNS時代に情報と向き合う“感情”のあり方
- ワクチンの情報と私たちはどう対峙していけばいいのか?
- 次のパンデミックに備える研究者の最新エビデンスからひもとく
出演


Clip.01情報が人の命を左右する!? “インフォデミック”という もう一つの感染
コロナパンデミックは、社会にどのような影響を及ぼしたのか…。 東京大学の古瀬祐気さんは、その影響をひも解き、次の感染対策にいかそうと研究を続けています。 古瀬さんが、コロナ禍で特に影響が大きかったと感じているのが、SNSなどで広がった様々な“情報”です。 治療に関する情報の中には、“明らかに間違ったもの”も多くありました。 “漂白剤を飲むとコロナウイルス予防に効果がある” “新型コロナウイルスは5Gテクノロジーによって活性化される” といった情報が、SNSなどで拡散されました。 中でも深刻だと感じたのは、ワクチンに関する情報でした。 そこで古瀬さんは、「誤情報がワクチン接種率にどう影響したのか」3万人のアンケートから、導き出そうとしたのです。 古瀬さんが誤情報として提示したのは、「ワクチンの有効性に関する報告データは捏造されている」など7つの項目です。 〈古瀬さんインタビュー〉 「具体的には“ワクチンの安全性のデータが捏造されている”とか“ワクチンと自閉症には関係があるが政府はそのことを隠している” 。ワクチンの接種歴と誤情報をどれだけ信じているか、ということについても聞きました」 アンケートを解析すると、 ワクチンを打たなかった人のおよそ36%が、こうした誤った情報を信じていたことがわかりました。 〈古瀬さんインタビュー〉 「逆向きにすると、誤情報を信じていなければ87%の人がワクチンを打つが、誤情報を信じていると63%に落ちてしまう」 SNSによって誰もが情報を発信できる時代…。 新型コロナウイルスでは、パンデミックに加え、情報が氾濫し、人々の行動が大きく左右される、という課題にも直面しています。 WHOはこうした課題を「インフォデミック」と名付け、警鐘をならしました。 〈WHOテドロス氏発言〉 「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックを通じて、私たちはこの情報過多という疫病が社会をいかに機能不全に陥らせるかを目の当たりにしてきました。こうした情報流行(インフォデミック)は、社会を支える結束力や、私たちの健康と福祉を支える公的機関を蝕みます」 “インフォデミック”という もう一つの感染に直面した、 新型コロナウイルス。 古瀬さんは、誤情報が実際に感染拡大や死亡者の増加につながってしまうのか、更にひも解こうとしました。 古瀬さんらが開発したのは、死亡者数を予測する数理モデル。 2021年の 「新型コロナの感染者数」 「ワクチンの接種率」 「ワクチンの有効性」 「変異株の種類」 この4つのデータから導きだしていきました。 その結果です。 縦軸が死亡者の数、横軸が1年間の推移です。 黒い線は実際の数値。 一方、青い線はワクチンの誤情報を信じる人が実際より少なかった場合の死亡者の予測です。 誤情報を信じる人が少なかった場合、「1年間で431 人の死亡を回避できた」という結果でした。 〈古瀬さんインタビュー〉 「誤情報の与えた影響というのは思っていたより(少なかった)。私はもっと大きな数字が出ると思った、死亡者の変化について。その頃は誤情報がそもそもそんなに広がっていなかったということと、初めの2回に関しては本当に多くの方がワクチン接種を受けてくださいましたので、そのおかげかなと思っています。じゃあ誤情報のプライオリティが低いのかというと、そんなことはなくて。この研究、今も続けているんですけど、今は誤情報の影響というのは2021年よりも圧倒的に強くなっていまして、この状況でまたパンデミックが起きたときにいまお見せしたような数字とは桁が違ってくるんだろうなと思っています」 2024年の調査からは、それを裏付けるデータが明らかになっています。 〈古瀬さんインタビュー〉 「次のパンデミックが起きたときに、またワクチンを接種しますか?ということを聞いてみますと、青い2つが打つ方なんですが、50%強の方しか次は打つ、と考えていなくて、ほぼ半分ぐらいでもう打ちたくないかも、と答えていた。実際2021年の日本においては、80%の方が打ってくれたことを踏まえると、これはかなり減っているなというふうに考えます」 もし、いま次のパンデミックが起きたら、多くの命が失われてしまうのではないか。 古瀬さんたち研究チームは、「情報が錯綜する時代に、人はどうすれば正しい情報と向き合えるのか」、議論を重ねています。 その中で重要となるのが、“人間の感情”だといいます。 〈田淵さん発言〉 「僕もいつも正しい情報を伝えるということはしているがやっぱり人って感情に動かされているわけですよ。だとすると、これはとても楽しいとか、何かうれしいとか、そういうことの感情と結びつくような出来事とか、とても興味深いなとか、心が動くようなことがないと、やっぱりきっかけにならない。感情に訴えるような、正しいメッセージもちゃんと感情に訴えるような形で何パターンか用意して伝えていく、みたいなことができたらいいなと思います」 〈古瀬さん発言〉 「あとはまだ本当に(情報のなかで)迷ってる人がそれなりにいると思っていて、そういう人たちが今だったら引き返せるところにいるのに、引き返せないところにいってしまうのが怖くて、そこにいきかけてる人たちを取り戻したいみたいな気持ちがちょっとあります」 何が正しい情報か判断がつきにくい時代に、どんな感染対策が有効なのか…。 古瀬さんは一人でも多くの命を救いたいと、研究を続けています。

- つくばダイアローグハウス院長
- 筑波大学名誉教授
- 精神科医、批評家

- 新型コロナウイルス感染症対策分科会 元会長
- 公益財団法人結核予防会 理事長

- 医療法人社団 悠翔会 理事長
- 訪問診療医

- 俳優・タレント

- 大阪大学医学部附属病院 感染症内科 診療科長
- 大阪大学大学院医学系研究科感染制御医学講座(感染制御学)教授

- 国際医療福祉大学医学部感染症学講座 代表教授
- 同 成田病院感染制御部 部長